最近自分が使用しているPCを新調しました。今回はまっさらなPCに自分流のプログラミングに適した環境にセットアップしたときの記録です。
はじめに
3年位前に購入したラップトップPCのバッテリーが膨らんでしまって、キーボードが非常に打ちづらい状況が続いていました。バッテリー交換のための修理に出そうと思ったのですが、データをバックアップしたり、データをクリアしたりするのが面倒くさくなったので新しく購入しました。性能的には何も問題ないPCだったので勿体ない感じがするのですが、手間を考えると買い換えたほうが良いと判断しました。PCを買い替えると面倒なのがセットアップです。環境が新しいと試行錯誤しなければならないので多くの時間を消費します。なので、私は新しいPCのセットアップがどちらかというと苦手で、会社から支給されるPCも更新するときは面倒だなと思いながら作業します。
実は今回購入したPCには最初にLinuxをインストールしました。Linuxの方がin silico 創薬のツールがインストールし易いからです。しかしながら新しいPCではLinuxの方が対応しきれてなくて、微妙なところで不具合があってイマイチでした。仕方ないのでWindowsに戻しました。やっぱり新品のPCはLinuxと相性悪いですね。
Linuxの場合はセットアップする過程をスクリプトにまとめれば自動化することが出来るのですが、Windowsの場合はそうは行きません。まぁ私がやり方を知らないだけだとは思いますが、調べる時間が勿体ないので、このブログでその過程を記録に残すことにしました。
インストールしたもの
最低限インストールしたい10個のアプリは以下の通りです。
1. KeySwap
キーマップを変更するソフトです。
ダウンロードはこちらです。
2. プログラミング用フォント Myrica
プログラミングするには必須のフォントです。例えば1(数字)とl(ローマ字)の違いも明瞭に分かります。
ダウンロードはこちらです。
3. Git
ソースコードを管理するツールです。また、GitHubで公開されているコードをダウンロードするときにも利用します。
ダウンロードはこちらです。
4. vim
有名なテキストエディタです。私の場合は主にviewerとして利用しています。
ダウンロードはこちらです。
5. emacs
これも有名なテキストエディタです。私はemacs使いなので、これは必須です。
ダウンロードはこちらです。
6. RLogin
ターミナルエミュレータです。私はずっとTeraTermを利用していたのですが、最近RLoginへの乗り換えを検討しています。
ダウンロードはこちらです。
7. OpenJDK
OpenJDKはフリーのjavaを利用ための仮想マシンやライブラリのセットです。
ダウンロードはこちらです。
8. JChemPaint
javaで作られた化学構造式の描画ツールです。あまり多くの機能は無いですが、フリーで利用できるので重宝しています。
ダウンロードはこちらです。
9. Miniconda
Pythonを利用する人には非常に便利なソフトですね。特に機械学習の計算する環境を整える場合には必須でしょう。
ダウンロードはこちらです。
10. PyMOL
タンパク質の3次元構造などを表示するためのツールです。in silico創薬においては必須ツールでしょう。これはminicondaからcondaコマンドよりダウンロードします。
KeySwap
これはWindowsにおいて親指Ctrlを設定するために利用します。詳しくは以前のブログを参照してください。私の場合のキーマップの設定は、”無変換”を”右Ctrl”、”カタカナ”を”F7″、”右Alt”を”F10″、”無変換”を”左Alt”に置換しています。まず最初にこの設定をしておかないとキーボードの操作がままならない体になっています。
プログラミング用フォント Myrica
プログラミング用フォントはMyrica以外にもいろいろあるのですが、私はこれがお気に入りです。プログラミングするうえで1とlとか0とOの違いが一目で分からないのは致命的です。Myricaのページに行くとMyricaとMyricaMの2種類があるのですが、私はMyricaの方を利用しています。違いは日本語などの英数字以外のフォントが異なるみたいです。インストール方法は簡単で、ダウンロードしたzipファイルを解凍して出てきたTTCファイルをダブルクリックします。そしてウインドウの左上のインストールボタン(印刷の右隣)をクリックするだけです。後は各アプリケーションのフォント設定で”Myrica M”を選択すればOKです。
下図はMyricaとMSゴシックを比較したものです。Myricaは似ている数字とローマ字の違いがよくわかります。
Git
私はGitはプログラムに限らず、WordファイルやExcelファイルのバージョン管理にも利用しています。Gitはバイナリファイルの管理が苦手とされていますが、個人的に利用する限りでは問題を感じません。インストール方法は、ダウンロードしたexeファイル(Git-2.37.1-64-bit.exe)をダブルクリックして開始します。続いて以下の手順でインストールウィザードを進めます。
- License agreement -> Next
- install folder -> Next -> Ok
- Git GUI Hereのチェックを外す -> Next
- Start Menu folder (Git) -> Next
- Use Vim -> Next
- Use Git from Git Bash onlyの方をチェック -> Next
- Use bundled OpenSSH -> Next
- Use the OpenSSL library -> Next
- Checkout as-is, commit Unix-style line endingsの方をチェック -> Next
- Use Min TTY (the default terminal of MSYS2) -> Next
- Default (fast-forward or merge) -> Next
- Git Credential Manager -> Next
- Configuring extra options (defaultのまま) -> Next
- Configuring extra options (これもdefaultのまま) -> Install
使用方法はGit管理したいフォルダで右クリックして、メニューから”Git Bash Here”を選択するとターミナルが開きます。そしてGit関連のコマンドを実行します。あと、Git自体の便利な設定として”C:\Users\”下の自分のフォルダに”.gitconfig”というファイルを作成します。内容は以下の通りです。
[user]
email = (自分のemailアドレス)
name = (自分の名前)
[alias]
co = checkout
ci = commit
st = status
bra = branch
l = log --date=short --pretty=format:'%C(yellow)%h %Cgreen%cd %Cblue%cn%Cred%d %Creset%s'
ll = log --stat --decorate=short --pretty=format:'%C(yellow)%h %Cgreen%cr %Cblue%cn%Cred%d %Creset%s %C(cyan)%b'
lg = log --graph --date=short --decorate=short --pretty=format:'%C(yellow)%h %Cgreen%cd %Cblue%cn%Cred%d %Creset%s'
lm = log --merges --pretty=format:'%C(yellow)%h %Cgreen%ci %Cblue%cn%Cred%d %Creset%s %C(cyan)%b'
[merge]
ff = no
commit = no
[pull]
ff = only
[push]
default = simple
[credential]
helper = manager
[core]
quotepath = false
vim
KaoriYaのページからWindows 64bit版ダウンロードをクリックしてzipファイルをダウンロードします。このzipファイルを適当なフォルダで解凍して、C:\Program Filesの下に解凍されたフォルダを置きます。基本的にこれでインストールは終わりです。このフォルダ内のgvim.exeを実行するだけでvimが使えます。また、同フォルダ内のgvimrcファイルを編集することでエディタの設定ができます。私の場合の設定は、カラースキームとフォントと文字コード(UTF-8)の3点です。先ずカラースキームの設定はgvimrcの66行目あたりでcolorscheme morning
となっているところをcolorscheme delek
とします。次にフォントの設定ですが、gvimrcの77行目あたりのset guifont=MS_Gothic:h12:cSHIFTJIS
という部分を、set guifont=Myrica_M:h14
と修正します。h14となっている部分はフォントサイズです。わざわざプログラミング用フォントをインストールしたこともあり、私にとってこの部分の修正は必須と言えます。最後に文字コード(UTF-8)の設定は、C:\Program Files\vim82-kaoriya-win64\switches\catalogの下の”utf-8.vim”というファイルをC:\Program Files\vim82-kaoriya-win64\switches\enabledの下にコピーします。最後にgvim.exeのショートカットをデスクトップなどに作っておいたり、拡張子txtファイルをgvim.exeに関連付けすると便利です。
emacs
emacsの公式ページからnearby GNU mirrorをクリックしてダウンロードします。インストールウィザードでは全てデフォルトの設定でNextとかOkをクリックしていけば大丈夫です。設定をデフォルトから変更する場合は、C:\Users\自分のフォルダ\AppData\Roaming.emacs.dの下にinit.elというファイルを作成して設定を記述します。emacsの設定は奥が深く複雑なのでここでは省きます。
RLogin
私は20年以上Windows用のターミナルエミュレーターはTeraTermを利用して来ました。最近RLoginの方に乗り換えようと思い立って、利用し始めています。インストールは非常に単純で、ダウンロードしたzipファイルを解凍すると1つのexeファイルが現れます。それを実行するだけでRLoingが利用できます。
私の場合はRLogin.exeファイルをC:\Program Files\RLoginの下に入れています。絶対に設定する項目は2点有って、先ず1つ目はフォントを”Myrica M”に変更することです。2つ目はキーボードの項目のMetaキー設定です。ここで”すべてセット”を選択します。これを設定しておかないと、emacsを利用する際にAltを押してもMetaキーとして認識してくれません。他にも設定項目はありますが、お好みでという感じになります。
OpenJDK
Chemoinformatics系のツールにはJAVAで開発されたものが多数あるので、JDKのインストールは必須です。OracleJDKは有償になったかと思えば無償になったりと、Oracleの方針がわけわからないので利用するのはやめましょう。OpenJDKの方をインストールすることをお勧めします。インストール方法は以下の通りです。
- zipファイルを解凍する。
- 解凍して現れたフォルダ(jdk-18.0.2など)をCドライブの直下に移動する。
- スタート -> 設定 -> “環境変数”というキーワードで検索する -> 環境変数を編集をクリックする。
- “JAVA_HOME”という環境変数を作成して、値として”C:\jdk-18.0.2″などとOpenJDKをインストールしたパスを入力する。
- もとから存在している”Path”をいう変数を選択して編集をクリック -> “C:\jdk-18.0.2\bin”のようにOpenJDKのbinのパスを入力する。
これでJAVAを利用したツールが動くようになるはずです。
JChemPaint
JChemPaintのページの”desktop application”部分をクリックするとjarファイルがダウンロードできます。インストール方法は以下の通りです。
- jarファイル(jchempaint-3.3-1210.jar)をC:\Program Files\JChemPaintというフォルダを作り、その下に入れる。
- jarファイルのショートカットをデスクトップに作成する。
- ショートカットを選択して右クリックからプロパティを選択する。
- リンク先に既に”C:\Program Files\JChemPaint\jchempaint-3.3-1210.jar”と記述されているはずなので、先頭に
C:\jdk-18.0.2\bin\javaw.exe -jar
を挿入して記述する。つまりC:\jdk-18.0.2\bin\javaw.exe "C:\Program Files\JChemPaint\jchempaint-3.3-1210.jar"
とする。 -> Ok - ショートカットを実行してアプリが立ち上がるかどうか確認する。私の環境ではjarファイルをダブルクリックするだけではアプリが立ち上がらないので、ショートカットを作成するという手順4が必要でした。
下図はJChemPaintの画面です。使い方については適当に触ってみれば使えるでしょう。
Miniconda
Anacondaは商用利用する場合は有償だし、いろいろと余計な物までインストールされてしまうので、
私はMinicondaの方を好んで利用しています。Minicondaのページから”Miniconda3 Windows 64-bit”をクリックして”Miniconda3-latest-Windows-x86_64.exe”というファイルをダウンロードします。そしてこのexeファイルをダブルクリックしてインストールを開始します。通常は全てデフォルトで良いので、インストールウィザードではひたすらNextをクリックして進めます。最後にFinishをクリックしてインストールは終了です。Minicondaという名前なのに、スタートメニューにはAnaconda3 (64-bit)というフォルダ名で登録されます。Minicondaの実行には、このスタートメニューフォルダ内の”Anaconda Powershell Prompt (Miniconda3)”をクリックしたら立ち上げます。
PyMOL
PyMOLはMinicondaがインストールされていると簡単に導入できます。インストール方法は以下の通りです。
- “Anaconda Powershell Prompt (Miniconda3)”をクリックする。
- 仮想環境を作成します。コマンド”conda create -n pymol”と入力する。
- 仮想環境に入ります。コマンド”conda activate pymol”と入力する。
- PyMOLのインストール、”conda install -c conda-forge pymol-open-source”と入力する。
- pymolとコマンド入力してPyMOLを起動する。インストール後の実行は仮想環境に入ってpymolとコマンド入力すれば良いです。
Category: プログラミング関連, 雑記