名古屋大学との共同研究の成果が論文発表されました。Deep Quartetでジェネレートした化合構造を基に合成、in vitro評価、構造解析(クライオ電顕)を行った成果となります。
- 掲載誌:「Communications Biology」
- 論文タイトル:Deep learning driven de novo drug design based on gastric proton pump structures
- 掲載URL:https://www.nature.com/articles/s42003-023-05334-8
プレスリリースの詳細については以下をご覧ください。
インテージヘルスケア、AI創薬プラットフォームを活用し、新規胃酸抑制剤の候補化合物を創生 ~名古屋大学との共同研究成果が論文発表~
また、研究内容の詳細については、名古屋大学のwebサイト、大型放射光施設SPring-8のwebサイトにも詳細書かれておりますのでご参照ください。
各研究者のコメントも公開されておりますので、抜粋してご紹介させていただきます。
【各共同研究者からの本件成果に関するコメント】
◆国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学細胞生理学研究センター 阿部 一啓 准教授
共同研究開始直後、いきなり2番目の化合物が有意な阻害活性を示し、さらには6番目の化合物が、基準となる化合物(SCH28080)の親和性を既に上回ったことが大きな驚きで、創薬として驚異的なヒット率を実感しました。そのAIがデザインした化合物を、構造解析によって「人の手で」さらに改良できたときは、まだまだAIには負けないぜ!というちょっとした嬉しさもありました(笑)。今回の仕事は人間がAIをどういう風に利用するかという良い例になったと思っています。構造生物学者の中には、実際に薬剤結合構造を解析したけれど、どうやって新規化合物をデザインするか悩んでいる方も多いと思います。この枠組みは、他の構造既知のターゲットにも応用できると感じています。
◆国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院 創薬科学研究科 横島 聡 教授
提示された構造をこの世に存在させることが、有機合成化学に課せられる何よりも重要な役割ですが、合成可能性を含めた候補化合物の検討・選択においては、「どれをつくりたいか」という問い(誘い)も同時に生まれてきて、有機合成化学者としての存在の意味を本研究で強く感じました。複雑さが増す創薬の現場において、本研究が研究者の皆様の参考になることを期待しております。
◆株式会社理論創薬研究所 代表取締役 吉森 篤史(博士)
生成AI技術とSBDDを組み合わせることで、効率的にリード化合物のデザインができることを確認することができました。今後も、最先端の生成AI技術とこれまでに蓄積されたin silico創薬技術を活用することで、さらなる創薬の効率化に挑戦したいと考えています。
◆株式会社インテージヘルスケア V&A部 創薬支援グループ 村上 竜太
私たちは創薬研究の現場において、実践的であることを最重要視し、AI創薬の技術開発とサービス展開を協力会社とともに行ってきました。AI創薬で実践的であるということは、有機合成や構造解析などの近接領域といかに連携できるか、ということでもあります。今回の共同研究の成果は、実践的なAI創薬の事例を示すものとして、国内外の医薬品開発に広く貢献できるものと思っております。
Category: AI創薬関連, Announcement, Deep Quartet